3.税務/会計処理


事業が軌道に乗ってきたらいよいよ決算処理です。
何せ個人事業主の方の所轄官庁は国税庁であり、出先機関の税務署がその窓口実務を行います。
会計処理をした上で申告、納税というステップがあるのであすがここで重要なのは「正確に」会計処理を行い、「適切な」節税策を打つ事で当期に上げた利益を現金として翌期に残す処理ができるかという事です。



本来は(2)を正しく行うために(1)(3)をしっかり行うというのが建前ではあるのですが、みなさんの本音としては(3)節税対策を実行するために(1)会計処理、(2)税務申告をどのように行うべきかというところにあるのではないでしょうか?

基本的には「節税して事業の成果としての資金を手元に残したい」「せっかく上げた利益が税金で消えてしまうのはちょっとなぁ」というのが正直なところでしょう。

ここでは実践的な業務を行えるよう(1)会計処理 (2)税務申告の方法をお伝えした上で(3)節税対策の
実践的な方法について考えてみたいと思います。
(1)会計処理

個人事業主の決算日は一律12月31日と決められていますので当該年度の1月1日から12月31日までの事業活動を損益計算書(P/L)、貸借対照表(B/S)、総勘定元帳などの帳簿に落とし込む作業があり、これを会計処理といいます。

青色申告を行う方は複式簿記で帳簿作成を行う必要があるため仕訳の知識と正確に行うための実務経験が必要になります。本来は簿記1級や2級レベルの方が下記②にあるような帳簿類と①の青色申告決算書を作成しており、専ら会計士や税理士事務所に依頼して作成をお願いするという事になると思います。

①青色申告決算書
1)損益計算書
2)原価償却費の計算書
3)貸借対照表
※こちらは「青色申告決算書」「収支内訳書」です、記入内容の参考にお使い下さい。
(2016年11月時点のものになりますので、最新版を税務署で受け取る、もしくは国税庁のサイトよりダウンロード下さい)


②保存義務
1)帳簿:7年(総勘定元帳・出納帳・売掛帳・買掛帳・経費帳・固定資産台帳など)
2)決算関係書類:7年(確定申告書・損益計算書・貸借対照表など)
3)現金預金取引等関係書類:7年(預金通帳・領収書・借用書など)
※前々年分所得300万円以下の方は5年
4)その他:5年(注文書・請求書・納品書・見積書・検収書など)


ただ、最近では会計ソフトが普及しており、上記①②の書類も入力の仕方だけ覚えれば大抵の人は出来るようになっています。国税でも自書申告を推奨しておりますのでチャレンジしてみてはいかがでしょうか?仮に税理士事務所に帳簿作成から申告までをお願いする場合、



となり、年間22万円という個人事業のみなさんにとってはちょっと頭がイタイ費用がかかる事に
なります。個人事業主の方の大部分が自書申告をしている事を考えるとチャレンジしてみてもよいのではないでしょうか?


(2)税務申告

個人事業主は毎年2月15日から3月15日(土日がかさなると翌営業日)の確定申告期間中に1年間の売上から支出を差し引いて作り上げた決算書の最終利益が個人事業主の皆さんの事業所得となります。


※こちらは「青色申告決算書」「収支内訳書」です、記入内容の参考にお使い下さい。
(2016年11月時点のものになりますので、最新版を税務署で受け取る、もしくは国税庁のサイトよりダウンロード下さい)


この事業所得とそれ以外の所得(不動産・利子・配当など)を足して控除(雑損・社会保険・医療費生命保険・寄付金・扶養・基礎など)を差し引いた最終的な所得に対して所得税が課税されるのでその金額を確定申告書に記載して所轄の税務署に申告することを確定申告といいます。

こうやって書いてみるとカンタンに聞こえるのですが
(1)会計処理で仕訳処理が難関であったのと同じく、確定申告書では



などに始まり、いろいろな疑問が出てくるものです。
そしてこれらの難関を乗り越えてやっと完成したので税務署で申告してみたら、
「今年から制度が変更になったんです」という事で1か月過ぎたころに修正申告の手続きを要請されて出し直しという事態に陥る事もよくある話です。あまり間違いばかりだと意図的な脱税と疑われたり、
うっかり通知書を見落としてたりして期限が過ぎると重加算の対象になって払わなくてもよい税金を払わされるなんて事もあります。

こういった事態になる事を恐れて税理士さんに高い費用を払って申告書の作成や申請をお願いする方が
多いのですが何十万円も払う事は個人事業主であるみなさんにとってはそれこそ「身を削る」想いだと思います。

(1)会計処理でもお伝えしましたが確定申告対応した会計ソフトではこれらの作業をすべてソフトがやってくれます。このため複雑な会計処理や税務を学習しなくても青色申告決算書や確定申告書を作る事ができます。しかも数千円で・・・・。

または記帳処理を外部委託する事でコストを浮かす事もできます。
私たちが提携している税理士事務所で依頼する場合、多くのクライアントの案件を一緒にお願いしているためボリュームディスカウントができるというメリットがあります。

(3)節税対策

今まで見てきた中でみなさんがもっとも関心があるのは「節税」ではないでしょうか?
もちろん違法な処理をしてしまうと「脱税」になってしまうのでそうならないように税制の範囲で適正に支出をおさえるのが「節税」です。

ではどんなやり方があるのでしょうか?

あくまでも個人事業主のみなさんが節税をする場合を想定して
以下のようなパターンがあると考えられます。


とにかく仕事で関わったまたはそうと言える領収証を集める。喫茶店で人と話(もちろん仕事で)をしたら会議費として処理できます。打ち合わせで電車やバスなどで移動したら交通費で計上できます。
また、自宅の家賃なども按分(仕事とプライベートのスペースで分ける)する事で地代家賃に計上できます。よく考えてみると費用計上をしていなかったものもずいぶんあるのではないでしょうか?


住宅借入金等特別控除という制度があります。家を買うためにローンを組むとその借入額の1%が控除されるという計算です。ちなみに3500万円の借入があった場合は35万円が控除されるという計算になるのでそこそこの事業所得があったとしたらここから35万円を減額できる計算になります。
現在のマイナス金利下でローンを組んだ私の友人は金利0.7%で借りる事ができたそうです。
つまりその人はローンの金利以上の控除が受けられるので家を買ったほうが得(いちがいにそうと言えない場合もありますが)という状態になっているようです。


個人事業主の方は多かれ少なかれ奥さんに仕事を手伝ってもらっている事が多いのではないでしょうか?「青色事業専従者給与に関する届出」をして奥さんを従業員にして支払った給料を経費化する事も可能です。私の知人は「生活費と奥さんの小遣い」を込みとして奥さんに給与を支払っているそうです。
正直公私の差がつけにくい個人事業主であればそういうやり方をする人も多いのでしょうね。


生命保険は保険料が控除されます。たとえば掛け捨てではない終身保険に加入した場合は保険料は積立て的な資産の意味合いがあるにも関わらず、控除の対象になるため保険会社の安定性を配慮して加入するのであれば資産形成の意味合いを持つ節税ができます。


雑損控除を活用すれば災害や盗難などの被害にあった場合、その被害額を申告して一定の割合を控除してもらう事ができます。利用できるケースは、

1) 震災、風水害、冷害、雪害、落雷など自然現象の異変による災害
2) 火災、火薬類の爆発など人為による異常な災害
3) 害虫などの生物による異常な災害
4) 盗難
5) 横領

などに限られるのですが例えば台風の多い年に建物が壊れたり、水が浸水して衣服や資産を汚してしまったなどは対象になります。盗難などのケースではその資産を失った証明が必要になる場合がありますがこれも警察に届けるなどの手続きをした後に手続きをする事が可能です。

などなど。いろんな節税方法がありますが適用できるケースはみなさんの資産状況や年収によってもさまざまです。有名なところではタワマン節税があります。現在は税務当局からの指摘で活用しにくくなってましたがタワーマンションは購入価(時価)と税務上の評価額が異なるためタワーマンションを購入して子供に相続させて低い評価で相続税を支払い、その後時価で売却するという税制の穴をついた節税手法がもてはやされた時期がありますがこのたぐいの節税法は会計士やFPなど「お金のプロ」からすると星の数ほどあるそうです。



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